

ソフトバンクテレコム株式会社(以下 ソフトバンクテレコム)は、建築などの工程管理用システムで多くの実績を持つ株式会社ツールズ(以下 ツールズ)との共同開発により、2009年9月、ソフトバンク携帯電話向け*に、農業サポートアプリケーション「TOOLS AGRI」の提供を開始しました。農業にITを導入した今回の取り組みについて、開発・営業に携わるソフトバンクテレコム 法人第一営業本部 モバイル営業部 田中 克和にインタビューしました。
「TOOLS AGRI」は、ソフトバンク携帯電話で、農作物栽培における全工程の進捗管理を行うサービスです。携帯電話を使って、作業写真や位置情報、コメントなどを簡単に入力することができるほか、入力データは、パソコンで一元管理することができますので、生産者だけでなく農協や食品加工会社などの管理者との情報共有にもご活用いただけます。これまで農家の方が苦労されていた手書きでの記録作業を、携帯電話で手軽に行えることで、作業効率の向上に役立てていただけるツールとなっています。

携帯電話に搭載されている遠隔操作機能をさまざまな分野で活用できないか模索する中で、農業分野での活用方法も検討していました。当初は、「温度管理や外注管理に利用できないか」と考えていたのですが、農業について調べていくうちに、新たなアイデアが生まれることになりました。食品の安全性が重要視されている近年、生産物を卸す農家には、信頼性を証明するための取り組みとして、農作業の各工程にかかわる多くの管理記録が求められるようになっています。その反面、多くの農家では、「農薬をどれだけ撒いたか」などの情報が手書きで記録され、それをパソコンに入力する作業は別に行われていました。これら一連の記録作業は、農家にとって大きな負担となっていたのです。
「工程管理を携帯電話で行えるサービスがほしい」。農家から上がったこのニーズが、「TOOLS AGRI」誕生のきっかけになりました。そこから、農家をサポートする携帯電話用のアプリケーション「TOOLS AGRI」の提供に向けて取り組みを開始しました。開発には、もともと建築などの工程管理ソフトを携帯電話用のアプリケーションとして作っていたツールズにご協力いただき、実際にサービスを試していただいた農家の方々のご意見を参考にしながら、改良を重ねていきました。

「TOOLS AGRI」には、機能が充実しています。主な機能は、「工程管理」「お知らせ配信」「スケジュール機能」の3つです。
事前にパソコンなどで入力した「工程管理」の項目は、自動的に携帯電話の待受画面にメニューとして表示され、ワンクリックで必要な入力画面を呼び出すことが可能です。管理項目は作物や作業ごとに分類されますので、工程手順に沿って、作業内容などを記したコメントや位置情報と連動した作業写真などを入力できます。また、入力したコメントや写真のQRコードを作成して出荷物に添付することで、消費者へ開示できるようにもなっています。これは、農家の方からのご要望により、標準パッケージに組み込んだ機能です。
「お知らせ配信」機能は、配信したい情報を、「TOOLS AGRI」のメニュー画面にテロップで表示するものです。例えば、複数の従業員が働く農家で、「2時間後に雨が降る可能性があるため、それまでに出荷作業を終らわせましょう」というお知らせを、各従業員の携帯電話に向けて、一斉に配信するというような使い方ができます。また、共有で使用している農機具を管理するため、いつでも貸し出し予定を確認することができる「スケジュール機能」も備えています。
「カスタマイズ性能に優れている」ことも、「TOOLS AGRI」の大きな特長です。農家ごとに、実際の業務にあわせた工程を設定することができます。
作業効率が向上したケースとして、「携帯電話を使って工程管理ができるので、管理作業の負担が減った」「情報のデジタル化によって、各関係者への報告がスムーズに行えるようになった」という声を数多くいただいています。一方で、管理者側からは、「農場まで足を運ばなくても、生育状況のチェックや、従業員への細かい指示ができる」「従業員の労務管理に便利」というご意見が寄せられています。さらに、「詳細データの記録が後継者育成に役立つ」という新たな利点も、見出されているそうです。
開発にご協力いただいたツールズには、携帯電話やパソコンなどの情報機器に慣れていない人でも、簡単に操作できるアプリケーションを作ってきた実績があります。この「TOOLS AGRI」でも、誰でも簡単に使えるように、さまざまな工夫が施されています。その高い操作性は、実際に「TOOLS AGRI」を導入いただいている多くの農家の方々から、ご好評いただいています。
「TOOLS AGRI」にとって最も重要なのは、「使いやすいこと」。お客様の声を積極的に取り入れさせていただき、より汎用的で使い勝手の良いサービスを提供していきたいと考えています。また、農業以外の産業分野に対しても、「TOOLS AGRI」の仕組みを活かした新しいサービスが提供できるよう、現在開発を進めています。
農家の方々が培ってきた「勘」は、実地に即した素晴らしいノウハウです。その「勘」をデジタル化することは、非常に困難なことだと思っていますが、引き続きその試練に挑戦し、農業のIT化、効率的な農場経営への支援に取り組んでいきます。
(掲載日:2009年12月16日)