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2010年

人々の生活に役立つ街メディアの経験を生かし
デジタルサイネージの価値を高める

COMEL株式会社
メディア本部 マネジャー 深堀 菜生(ふかぼり なお)

「デジタルサイネージ」とは、屋外に設置されたディスプレーに広告や情報コンテンツを表示する電子看板のことです。最近では、ビルの壁面を利用したものや、デパート、コンビニエンスストア、映画館、病院、駅、空港など、さまざまな場所で見かけることができます。ソフトバンクグループでこのデジタルサイネージを手がけるCOMEL株式会社(以下、COMEL)では、「人々の生活上の多種多様なコミュニケーションを、デジタル技術を用いて、より『豊か』により『楽しく』する生活者密着型メディアを創造する企業でありたい」という企業理念のもと、デジタルサイネージのメディア、システム、コンテンツの企画、開発、運用を行うほか、「福岡街メディア」など特定のエリアで商業施設や交通機関などにデジタルサイネージを設置し、自治体などとも協力して街に根付いた街メディアを展開しています。同社の取り組みや、今後の展望について、メディア本部 マネジャーの深堀 菜生にインタビューしました。

ソフトバンクグループの力を結集し、新たにデジタルサイネージ事業を開拓

COMELは、2005年よりソフトバンクテレコム株式会社(当時:日本テレコム株式会社)の事業検討プロジェクトとして、デジタルサイネージのビジネス展開を検討したプロジェクトが母体となり、2006年7月31日に設立されました。
会社設立以降、デジタルサイネージの設置場所開拓をはじめ、コンテンツの企画立案や広告営業などを行い、2007年3月に「福岡街メディア」において、64面でデジタルサイネージを開始し、2007年12月からは横浜のみなとみらい地区で「横浜街メディア」を21面で展開しています。福岡ではその後、約500面まで拡大し、合計30以上にのぼる企業や団体のご協力のもと、福岡市内の交通機関、コンビニエンスストア、ドラッグストア、大型商業施設などを中心に、主要な生活動線上にデジタルサイネージを設置しています。

ソフトバンクグループでデジタルサイネージ事業を展開するに至った大きな理由は、事業展開のために必要なリソースの多くをグループ各社から調達できると考えたためでした。デジタルサイネージは、コンテンツをセンターサーバからインターネットを介して、各筐体(ディスプレー)に配信し放映を行っており、コンテンツを表示する「ディスプレー」、ディスプレーにコンテンツを配信する「ネットワーク」、そして配信する「コンテンツ」の3つが集まって初めて成り立ちます。

「『ハード』はソフトバンクグループの調達力を利用し、『ネットワーク』はソフトバンクグループの主要事業のひとつであり、『コンテンツ』は、福岡ソフトバンクホークスやヤフー株式会社(以下、ヤフー)のコンテンツを調達しやすい利点があり、ハード面、ソフト面それぞれグループ企業の力を結集し、新たなビジネスチャンスを開拓することができました」(深堀)。

現在COMELは、大きく分けるとデジタルサイネージにおける自社媒体を運営するメディア事業と、他社媒体の企画・設計・運営受託といったサービス事業の2点を展開しています。前者は、「福岡街メディア」や「横浜街メディア」といった自社でディスプレーを設置しメディアを運営する事業で、広告収入によるビジネスモデルの運営を基本としています。後者は、培ったデジタルサイネージに関わる技術やノウハウを生かし、他社が設置している、あるいはこれから設置するデジタルサイネージの設計・配信・運用の受託や、コンテンツの企画・編成や制作の受託を行っています。

「例えば、流通企業の場合は、店舗という設置場所をすでにお持ちですが、店舗内での効果的な設置場所や来店客によく見られるコンテンツなど、設計・企画段階からサポートし、最終的な運用業務まで受託するケースもあります」(同)。

COMELのデジタルサイネージでは、テレビCM素材と静止画を同時に流すといったさまざまな表現方法が可能です。クライアント自身が発信したい情報を自由にインターネット経由で画面上に表現できる点も、COMELのデジタルサイネージの特徴のひとつです。これにより、簡単な操作でコンテンツを状況に応じリアルタイムで変更でき、タイムリーな情報配信を可能としています。

そのほか得意とするのが、既存のWEBサイト上に掲載されている情報を、インターネットを介して参照し、テンプレートにはめこみ、デジタルサイネージ上に表示させる手法で、「Yahoo! JAPAN」のTOPページに表示される「トピックス」や、口コミサイトの「食べログ」、「天気予報」や「ニュース」の配信もデジタルサイネージのコンテンツとして、街にリアルタイムで発信しています。「すべてのコンテンツを一から作り上げるのには、多くのリソースが必要ですが、この手法でデジタルサイネージ運営業務の効率化とコストの削減を図ることができます」(同)。もう1点特徴的なのが、携帯電話でコンテンツを更新する仕組みです。これは、携帯電話の写真付きメールを指定のメールアドレスに送信することで、写真と本文をデジタルサイネージのあらかじめ決められたレイアウトに組み込むことを可能としており、パソコンさえ不要で誰でも簡単に活用できます。

「福岡街メディア」では、自治体や福岡県警とも協力

COMELでは特定の都市にフォーカスし、そのエリアでコンビニエンスストアや交通機関など多業種のさまざまな場所に設置し、地域に根づいたインタラクティブなメディアとすることを目的に「街メディア」を展開してきました。

「街というエリアを軸にしたメディア展開では、設置場所オーナー様の協力が必要不可欠です。自社媒体として、実施したい企画やコンテンツを展開していくためには、エリアを絞ったメディアのほうが独自性を出せると考えました。現在、こうしたエリア特化型のデジタルサイネージをこの規模で展開している日本の企業はほかにはありません」(同)。

最初に展開を始めた「福岡街メディア」では、地域に根づいた情報を発信し、福岡の生活者に親しまれるメディアを目指しています。空港や駅などのオープンスペースには、目に留まりやすいようデザインした白い筐体の縦型ディスプレーを設置する一方、コンビニエンスストアなどスペースの制限が厳しい店舗では、横型ディスプレーを設置するなど場所に応じ設置方法を変え、コンテンツもこれまでの経験を生かし見られやすい最適なものを提案しています。また、地域の安全安心に貢献するため、福岡県警の各警察署が地域防犯に関する情報を電子メールで配信する「ふっけい安心メール」の内容を、2009年6月よりデジタルサイネージ上で放映を開始しました。これは、各警察署の管轄する地域内に設置されたそれぞれのデジタルサイネージに放映することで、メール登録者以外にも、「この地域でひったくりが発生しました」や「最近このような犯罪が増えているのでご注意ください」といった、身近な地域の防犯情報をリアルタイムに配信することが可能となりました。

「この取り組みは、登録者以外の住民にも防犯情報がリアルタイムで届けられ、地域の防犯意識を高めることができた点が高く評価され、COMELは福岡県警中央警察署から表彰されました。警察からは、『情報が表示されることで警察官がその地区を巡回するのと同等の効果があり、犯罪の抑止効果にもなる』と評価いただき、地域の方のお役に立てたメディアのひとつだと考えています」(同)。また、2009年12月より、デジタルサイネージ福岡実験(総務省地域ICT利活用モデル構築事業)にも参画しました。これは、福岡市が主体となり市民へ情報発信する新しいツールとしてデジタルサイネージを活用する実験で、福岡市がインターネットで発信する情報をデジタルサイネージで放映し、市民サービスの向上や地域コミュニティの活性化を目的としております。このように、自治体とのコラボレーションも加速させており、地域に密着する街メディアとして機能を果たすための取り組みを進めています。

デジタルサイネージのマーケット拡大に向けて

デジタルサイネージというマーケットは、今とても注目されている媒体のひとつ。COMELでは、よりマーケットを大きくし、価値を高めていきたいと考えています。そのために、他のデジタルサイネージとのネットワーク化を推進し、広告枠の共有、広告商品の共同企画化、放映コンテンツの流通や、新規参入するデジタルサイネージの導入・運営をサポートをすることで、デジタルサイネージの認知度を上げマーケットをさらに拡大させる取り組みを続けます。また、2010年1月からヤフーとデジタルサイネージ分野で業務・資本提携をしました。「COMELのデジタルサイネージ分野における実績・ノウハウと、Yahoo! JAPANの持つインターネットにおける広告・コンテンツ配信プラットフォームを融合し、新たな事業展開をしてまいります」(同)。

今後のCOMELの展開にどうぞご期待ください。

(掲載日:2010年2月25日)

  • *内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。