
2010年度の連結業績は、売上高が初めて3兆円を超え、前年度比9%増の3兆46億円となりました。EBITDA※1は前年度比18%増の9,307億円、営業利益は前年度比35%増の6,291億円、当期純利益は前年度比96%増の1,897億円となりました。いずれも過去最高の数値で、EBITDAと営業利益は6期連続で過去最高を更新しました※2。営業利益率は21%で、国内携帯電話最大手のNTTドコモを上回ったのは初めてのことです。
業績を大きくけん引したのは、移動体通信事業です。スマートフォン(高機能携帯電話)市場の拡大を追い風にiPhoneの販売が好調に推移し、移動体通信サービスの累計契約数は前年度末から16%、353万件増加しました。さらに、スマートフォンの利用者は従来の携帯電話に比べてデータ通信の利用頻度が高いことから、データARPU※3が14%増加しました。基本使用料と音声ARPUの合計は8%減ったものの、総合ARPUは4,210円と前年度より140円増加しました。
ソフトバンクグループは「モバイルインターネット」の分野に狙いを定め、集中的に事業展開を行うことを戦略の一つとしています。インターネットにアクセスするための手段はパソコンからスマートフォンやタブレット端末にシフトしています。これに伴ってモバイルインターネットの分野は急速に拡大を続けており、一点集中戦略が奏功したといえます。



2006年4月にボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)を買収した際に、ソフトバンクグループは買収資金として1兆円超を借り入れました。返済は順調に進んでいましたが、負債の規模が大きいことから、2008年の金融危機の時には一部の投資家の間に疑心暗鬼が広がりました。こうした不安心理を払拭するために、ソフトバンクグループは純有利子負債※6を2008年度末の1.9兆円から2011年度末までの3年間で半減させ、2014年度末までの6年間でゼロにすることを目標に掲げました。2010年度末の純有利子負債は、2008年度末比で38%減に当たる1.2兆円でした。負債の圧縮と好調な業績を背景に信用力は着実に改善しており、これに伴って資金調達コストも低下しています。こうした取り組みが株主価値の向上につながっていくと考えています。

ソフトバンクは企業価値の向上による株主利益の増大に努め、株主の皆さまをはじめとするステークホルダーに対して、適正に利益を還元することを基本方針としています。また、株主の皆さまに対する配当については、純有利子負債の削減による財務基盤の強化と、中長期的観点からの安定配当の継続とのバランスを勘案して決定する方針です。
この方針の下、2010年度の配当金については、前年度に引き続き1株当たり5円とする案で定時株主総会に付議し、承認可決されました。ソフトバンクでは、2011年度には5円からの増配を、2014年度にはさらなる増配を予定していますが、具体的な配当金額については、決定後速やかに公表します。

ボーダフォン日本法人を買収し、移動体通信事業に参入を果たしてから、5年が経過しました。この間、携帯電話基地局数を約6倍の12.2万局(2011年3月末現在)まで増やしました。これに満足しているわけではなく、まだまだつながりにくい場所があることを認識しています。移動体通信サービスに最も適した800MHz帯の周波数を割り当てられていないというハンディキャップもありますが、少なくとも現時点のNTTドコモやKDDIと同等のサービスエリアを実現するまでネットワークの増強をやり抜きます。「つながらないソフトバンク」とは言わせたくありません。意地でもやってみせる決意です。2011年度と2012年度は、連結ベースで5,000億円(検収ベース)ずつ、合計1兆円の設備投資を計画しており、このうち約8割を移動体通信事業に充てる予定です。
ソフトバンクグループの2011年度、2012年度の売上高と営業利益については、いずれも直前期に比べて増収増益を維持するものの、増益率は2010年度の実績(35%増)を下回る見込みです。これは今後2年度にわたり、中期的な成長を見据えて、主力の移動体通信事業においてネットワークの増強と顧客の獲得にこれまで以上に力点を置いて取り組むことによるものです。
ソフトバンクグループはこの取り組みを結実させ、利益を新たな成長軌道に乗せていくことができると考えています。そして、営業利益1兆円を目指して成長を加速させていきます。
ステークホルダーの皆さまにおかれましては、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。